「急な体調不良や検査で入院することになったけれど、病院の看護師さんとうまく意思疎通できるか不安…」
「いつも介助してくれているヘルパーさんに、入院中もサポートに来てもらうことはできるの?」
重度訪問介護を利用されている障害をお持ちの方やそのご家族から、このようなご相談をいただくことが多くあります。
結論から申し上げますと、一定の条件を満たせば、病院や診療所等に入院・入所中であっても重度訪問介護を利用することが可能です。さらに、令和6(2024)年4月の制度改定により対象要件が拡大され、より使いやすい制度へと見直されました。
本記事では、入院中に重度訪問介護を利用するための条件や具体的に受けられる支援内容、利用時の注意点について詳しく解説します。
1. 入院中の重度訪問介護とは?利用できる対象者の要件
本来、入院中の介護や身の回りの世話は病院等の医療従事者によって行われるのが原則です。しかし、重度の障害があり、意思疎通や特殊な介護に熟練したヘルパーのサポートが不可欠な場合、特例的に重度訪問介護の継続利用が認められています。
令和6年4月以降、以下の【①〜③のすべて】に該当する方が対象となります。
- ① 障害支援区分が「区分4以上」であること(令和6年4月に「区分6」から緩和されました)
- ② 病院等へ入院・入所する前から、すでに重度訪問介護を利用していたこと
- ③ 病院等の職員との意思疎通や、特殊な介護方法の伝達などの支援が必要であると認められること
ポイント:
ご本人が単身か同居家族がいるかなどの「介護者の有無」は問われません。また、「重度障害者入院時コミュニケーション支援事業」との調整においては、重度訪問介護の利用が優先されます。
2. 入院中に受けられる主な支援内容
入院中の重度訪問介護は、医療従事者の看護・介護を補完し、利用者が安心して入院生活を送るための「架け橋」としての役割を担います。具体的には以下のような支援が行われます。
① 意思疎通(コミュニケーション)の支援
発語が困難な方や知的障害のある方が、医師や看護師に体調の変化や要望を正確に伝えるための通訳・代弁を行います。認定調査の項目にかかわらず、入院時の状況に応じて必要性が判断されます。
② 独自の介護方法の伝達
利用者ごとに異なる特殊な体位交換の方法や移乗のアプローチなど、本人だけでは医療従事者に説明するのが難しい介護手順を的確に伝えます。必要に応じて、ヘルパーが看護師等と一緒に直接支援を行いながら伝達することもあります。
③ パニックや強い不安を防ぐ環境の調整
環境の変化による強い恐怖や混乱(パニック)を防ぐため、本人の生活習慣や落ち着ける対応方法を医療従事者に共有し、病室の環境調整をサポートします。
⚠️ ご注意ください:
医療機関の看護をそのまま代替するような介護(通常の食事・排泄介助のみなど)を行うことはできません。あくまで病院職員と連携し、意思疎通や介護方法の伝達を目的としてサービスが提供されます。
3. 利用時の手続きと注意点
① 新たな申請・支給決定は不要(既存の支給量の範囲内)
入院中に重度訪問介護を利用する際、新たな支給決定手続きは原則不要です。現在決定されている支給量の範囲内で利用できます。(※現在の支給量を超える利用希望の場合は変更申請が必要ですが、病院職員による対応が基本となるため、必要性は慎重に検討されます。)
② 病院等との事前調整と「情報提供書」の提出
サービスの提供にあたっては、病院側の治療に支障が出ないよう、病院職員と事業所間で十分な事前調整を行います。また、事業所は本人・ご家族の同意を得て「入院時情報提供書 兼報告書」を作成し、病院および所管の区役所等へ提出する必要があります。
③ 利用が90日を超える長期入院の場合
入院初日から起算して利用が90日を超える場合、病院職員がコミュニケーション技術を習得する期間等を考慮し、区役所等による聞き取りを行った上で継続利用が認められます。(※90日超の期間は報酬算定が所定単位数の80%となります。)
4. まとめ:入院が決まったら早めにご相談を
令和6年の制度改正により、区分4以上の方まで対象が広がり、突然の入院時にもこれまで関わってきたヘルパーの支援を受けやすくなりました。
病院等での重度訪問介護の利用にあたっては、病院との円滑な連携と事前の情報共有がとても重要になります。入院が決まった際や、万が一の入院に備えてご不安がある方は、まずは担当の相談支援専門員や当事業所までお気軽にご相談ください。